マスクがコロナウイルスに有効な理由 ブラウン運動を考慮していますか?

なるほど!モノの仕組みをご覧頂きありがとうございます。そうしたみなさまには、物事の本質をしっかり理解してほしいという思いからこの記事も書きました。

まず、相対的に大きさを正しく比較できるように、比較の図を三次元CADで作製しました。

不織布で作られているマスクの繊維の隙間が凡そ数十μmとすれば、それよりも大きな粒径を持つ花粉は通過出来ないことは簡単にイメージできます。コロナウイルスはどうでしょうか。コロナウイルスなどのウイルスの直径は 0.1μm です。単位を変えると、100nmの直径です。髪の毛の直径、あるいはコピー用紙の厚さの1000分の1の世界です。

質問:
直径100nmの粒子は、その100倍位ある、不織布内の繊維間を単純にすり抜けて行くと思いますか?

これは不織布であり、厚み方向もあるので、その層には数十μmの空隙があっても三次元的に上下の層の繊維の存在により密に詰まった状態です。下に参考として示したリンクの電子顕微鏡写真をご覧になると状況がわかると思います。ただし、電子顕微鏡による不織布の写真を見た場合に、その層だけではないことに注意が必要です。

微粒子に見立てたコロナウイルスが直線的に飛んでくるイメージではなく、実際には、ブラウン運動によりランダムに進んでいるイメージかと思います。大きさが小さくなればなるほど気体のブラウン運動の影響が増加します。”みかけの広がり(大きさ)”が増加するので、コロナウイルスはマスクの不織布内に侵入したら、おおかれすくなかれ、サイズ効果から、繊維表面に衝突したら最後、繊維表面に吸着される、と考えるのが正しいかと思います。勿論、確率的には衝突しないのもあります。

簡単に図を書いてみました。

マスクの効果があるかどうかと言われたら、0か1で言うなら0ではないですね、吸着の効果が期待できますから。

ただ、コロナウイルスは単粒子で存在して浮遊し感染するのではなく、飛沫に含まれて、それにより感染すると言われています。その場合は、飛沫直径は5μ程度と大きくなります。マスクの繊維の隙間が凡そ数十μmなら、これも速やかにトラップされる大きさかと思います。

<以下追記 2020.5.25>

さて、100nm の世界は髪の毛の 1000分の1の大きさと行ってもイメージ出来ないと思います。空気に含まれる、窒素分子、酸素分子、二酸化炭素、水分子の大きさととの比較で下の図を作製してみました。

比較のために、0.38nmの球が見えますでしょうか。水分子や窒素分子、酸素分子のどれか1個に相当します。1nmの球も図に書き込みました。1nmは水分子(0.38nm)が3個並ぶサイズと考えてください。窒素分子や酸素分子も同様なサイズなので、1nmに3個並ぶと考えるとイメージし易いです。ウイルスの大きさとなる100nmとはそうした分子の大きさにかなり近づいた世界であることが分かります。数百倍程度の差しかありません。

気体分子の速度はマクスウェル-ボルツマン分布式で議論されるのですが、簡単に、平均速度として室温ではこれら分子は 500m/s 位で動いています。500m/s のイメージは鉄砲の弾の速度です。1秒間に 500メートルを移動する速度ですが、実際は直進出来ず、分子同士がお互いに激しく衝突を繰り返しながら飛び回っているイメージです。分子の質量は軽いですが、速度が大きいのでそれなりの運動エネルギーを持っています。ウイルスが空気中に単体で存在したと仮定した場合、このウイルスは窒素分子、酸素分子、水分子など無数に多くの分子から激しく衝突されるので、結果、ブラウン運動として動くことになります。分子レベルに近づけば近づくほど、非常に激しく弾かれ、動かされる状況です。気体分子によるブラウン運動の議論です。ウイルスの大きさは分子レベルに近づいているので、分子との相互作用をよりイメージできるように補足しました。

詳細については、各自、調べて探求してください。

※ マスクの構造を電子顕微鏡で撮影した素晴らしい画像です。参考まで

http://www.miyama-analysis.net/micro/2020/02/mask-micro.php
https://www.jeol.co.jp/applications/myu/detail/1483.html

更新履歴:

初稿 2020.5.20

追記 2020.5.25 (分子スケールとの比較)

詳細については、各自、調べて探求してください。

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monomania

モノを分解したり、修理したり、改造したり、また、科学技術に関する歴史を探求するのが大好きです。こうした経験はものづくりに役立ちます。



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